眼瞼下垂症という名前を聞くとまぶたが垂れてきて、目が開いてない状態を想像すると思います。しかし、目が大きく開いていてもいろいろな症状を起こすことがあります。 |
◎眼瞼下垂症を理解するためのポイント
| 1. |
瞼は意識的に開くこともできるが、通常は反射的に開いている。 |
| 2. |
成人の過半数が後天性眼瞼下垂症になっている。しかし、無意識のうちに反射による筋力が大きくなるなど代償(だいしょう)され、瞼が開きにくくなるのはそのうちの一部の人である。 |
| 3. |
2の代償と同時に自律神経に異常が起きたり、気分などの精神面に変化が起こることがある。さらに、眼瞼痙攣を合併すると症状が重症化しやすい。 |
| 4. |
体に起こる症状は、眼瞼下垂や眼瞼痙攣の重症度とは比例しない。軽い眼瞼下垂でもいろいろな重い症状がでることもある。 |
|
◎眼瞼下垂になる理由
瞼を開くという動きは、目の上にある上眼瞼挙筋という筋肉が縮んで、筋肉の先にある腱膜という膜が瞼の中の軟骨様組織(瞼板といいます)を後ろ上方に引っ張るという仕組みからおこります。
上眼瞼挙筋と眼球の間に知覚神経(センサー)があります。このセンサーは上眼瞼挙筋の働き具合を自動的にコントロールしています(何のことかわからなければこちらを)。また、目が開いている=体も起きている、ということですから、自律神経も体を活動させる状態になります。血圧、脈拍を上げ、腸の動きを抑え、体中の筋肉に力が入ります。脳も覚醒して気持ちがしゃきっとします。これらが全て、このセンサーからの信号で起こると考えられています。ここまでは、とても合理的です。
|
  |
ところが、腱膜と瞼板の接着は弱いもので、年とともに少しずつはずれていきます。日本人(特に一重、奥二重の人)はまぶたを開けるのを邪魔する靱帯がよく発達しています。それに負けまいとまぶたを開ける力を強めるので、接着部ははずれやすく、さらに、目をこするたび、コンタクトレンズの着脱で瞼をひっぱるたび、化粧をこすり落とすたびにはずれていきます。生まれたときには腱膜が10動けば、軟骨が10動いていたのに、腱膜が10でも軟骨は9...8...7...6...と動きが悪くなってしまうことになるのです。
そして、腱膜と瞼板がはずれると、センサーがいつも引っ張られる構造(センサーに瞼板の重みがかかる)になっており、脳に信号をたくさん送ってしまいます。このため、上眼瞼挙筋は自動的に強く縮むようになります。正常なら10の腱膜の動きが15になれば、まぶたを開けるのを邪魔する靱帯が少ない人(もともとはっきりした二重に人に多い)は腱膜と瞼板がはずれても12とか13だけ瞼板が動き、また、補助的にまぶたを開ける筋肉も働き出す(特に下まぶたを開くのが特徴)ので、目が大きくなるのです。残念ながら、筋肉の収縮には限界があり、目が大きくなりつづけることはありません。むしろ接着部がさらにはずれて、11...10...9...8...と今度は逆に小さくなってくるのです。
|
 |
センサーからの信号が増えると、上眼瞼挙筋が強く縮むだけではありません。脳自体が活性化され続けますので、疲れがでます(慢性疲労、気分・不安障害)。自律神経も体を活動させる状態が強くなり過ぎいわゆる自律神経失調になってしまうのです。
接着部がはずれ続けて、5...4...3...2...と小さくなると、センサーは反応が悪くなってしまいます。正常よりも反応が悪く、腱膜と瞼板の結合もとても弱いため、目の開きが極端に悪くなります。脳や体も活性化されなくなってしまいます。
|
 |