平成28年 初期研修(基幹型)

初期研修2年目 神﨑 医師(基幹型)

研修医生活を終えて

初期研修2年目
(基幹型)
神﨑 医師

 平成16年度に導入された新しい医師臨床研修制度では、診療に従事しようとする医師が基本的な診療能力を身につけられるよう、指定を受けた臨床研修病院や大学病院で、必ず2年以上の臨床研修を受けることが定められています。(厚生労働省HPより抜粋)
 上記のように現在、医師免許取得後少なくとも2年間は臨床研修として1000以上もの病院から、多くの人は自分で研修病院を選択し研修を受けることが義務付けられており、私はこの松山市民病院(以下市民病院)で2年間の初期研修を行いました。

 市民病院ではルート確保、気管挿管、CV挿入などの手技を始め、担当医となり入院患者の管理などを学びました。松山市では救急は8日に1回の輪番制となっており、初期研修医は3交代で各時間に割り振られ、いわゆる風邪から心停止まで様々な症例を経験しました。各科で研修の内容に特徴はあるものの、基本的に上級医につき患者さんを担当し、ある程度経験を積んだ後は、自分で治療のプランを考え上級医に提示し行うことができるので、学生時代は勉強が得意でなかった私も自然と勉強するようになりました。
 また市民病院の先生方はとても相談しやすく、異なる科をローテートしていてもすぐにコンサルトできる環境でした。先生方だけでなく看護師、理学療法士、薬剤師、MEなどスタッフも初期研修医を大事にし、育てていこうという環境なので医師が扱わないような内容も教わることが出来ました。時間的な余裕も比較的あるので、院外の勉強会などにも積極的に参加することもできます。専門的な手技は大学病院などと比較すると少ないとは思いますが、初期研修医が身につけるべき技術はもちろん習得できます。

 この2年間は基本的な診療能力を身につけるだけでなく、将来の専門の診療科を考え、また上級医の背中を見ながら自分の診療スタイルを模索していく時期でもあったと思います。患者さんとの距離感や、他のスタッフとのコミュニケーションの取り方など先生方それぞれのやり方があり、多くの先生方につかせていただきながら学ぶことが出来ました。最初の2年間の研修は医師人生全体の時間から考えると少ない時間かもしれませんが、医師としての自分のあり方を考える大事な時期でもあると思います。その上でも自分の雰囲気とあった環境で研修することが大切だと思うので、まずは見学に来てみてはいかがでしょうか。

初期研修2年目 甲田 医師(基幹型)

松山市民病院での研修内容について

初期研修2年目
(基幹型)
甲田 医師

 私は基幹型プログラムとして2年間当院で研修を行い、糖尿病・内分泌科を3ヶ月、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、血液内科、放射線科、麻酔科、地域医療を2ヶ月ずつ、腎臓内科、外科、呼吸器外科、小児科、皮膚科、精神科を1ヶ月ずつローテートさせて頂きました。ローテート中の診療科により研修内容は異なりますが、入院患者さんの受け持ち(5~10人程度)と検査・手技が初期研修医の主な仕事となります。8日に1回の救急当番日には日勤・準夜勤・深夜勤のいずれかに毎回入り、上級医とともに初期診療を行います。不安なことがあればいつでも上級医がフォローしてくださるので、安心して診療することができます。
 臨床業務だけでなく、学会発表や勉強会なども充実しており、私はこの2年間で学会発表の機会を5回頂きました。参加費や旅費は病院が支給してくれますし、指導医が熱心にスライドや発表原稿の作成をサポートしてくださるので、学会当日は安心して発表に臨むことができると思います。

当院での研修の長所・短所

 当院での研修の最大の長所はDutyの少なさと自由度の高さです。市中病院の研修といえば『朝7時から夜10時まで働き、休日・祝日なし』の生活をイメージされる人も多いかとおもいますが、当院はDutyが少ないため空いた時間を調べ物やレポート作成に使うことができ、プライベートもそれなりに充実しています。また自由度が高いため、事前にお願いすれば空いた時間に他科の検査(内視鏡やエコーなど)や手術に入れてもらうことも可能です。しかし上述したDutyの少なさは短所にもなりうることであり、強制されなければ何もしない人や、野戦病院のようなところでバリバリ経験を積みたい人には、当院での研修はあまり向いていないかもしれません。

当院での研修を考えている学生・初期研修医へのメッセージ

 平成28年度より当院の初期研修医の人数が大幅に増えることが決定しました。ローテートの自由度は減ってしまいますが、多くの仲間たちと切磋琢磨し有意義な研修を行える環境が整っていますので、興味がある学生さんは是非見学しに来て下さい。

初期研修2年目 渡部 医師(基幹型)

当院での研修の長所・短所

初期研修2年目
(基幹型)
渡部 医師

 僕が初期研修に松山市民病院を選んだ理由は大きく分けて2つあります。1つ目は病院の規模に対して、比較的研修医が少ない点です。研修医が最も経験を積めるのは救急の現場であると学生時代から耳にしていました。ご存じの通り、松山医療圏では8日に1回の輪番救急体制となっています。研修医の多い病院では8日に1回巡ってくる救急の機会を研修医の中で交代制となってしまい、結果的に16日に1回、もしくは24日に1回と救急の経験回数が少なくなってしまう可能性があります。市民病院では8日に1回必ず救急に携わり、救急車対応や救急の外来診療を初期研修医のうちから上級医の下で経験出来ます。上級医の下といっても、忙しい救急の現場で上級医が常にマンツーマンで付いてくれているわけではありません。自ら問診、身体所見を取り、診断に必要な検査をオーダーし、診断がつけば各疾患に対して入院が必要か、帰宅可能ならどのような投薬が必要かなど自分で判断しなければなりません。そのような状況に置かれると、いやでも勉強せずにはいられません。そんな環境下で2年間経験を積めば、自然と知識と経験が積めるはずです。
 2つ目は上部消化管内視鏡の経験が積める点です。これも他病院との比較となってしまいますが、研修病院によっては消化器内科で研修をしても、上部消化管内視鏡を握る機会がほとんどない病院もあります。それは各病院の方針、考え方がありますので多種多様な研修プログラムがあって当然です。市民病院では研修医にも経験する機会は設けてもらえますし、やる気があればどんどん経験させてもらえる体制が整っています。僕は初期研修医時代に自分で一通り施行出来るようになりたいと思っていました。消化器内科を3ヵ月間研修させてもらい、ある程度その目標はクリアできたと考えています。また研修医同士で施行し合う機会もあり、実際患者さんの受ける検査がどれほど負担になり侵襲的なものなのかを肌で感じる機会もありました。
 短所としては病院規模としてそれほど大きな病院ではないので大病院のような各科での特殊疾患を経験できる機会や専門的な処置、モダリティの制限があることは否定できません。

当院で研修を考えている学生へのメッセージ

 僕は専門科が明確に決定していなかったので、市民病院での救急対応や、さまざまな科で経験を積めたことは大きな財産となりました。最終的に循環器を専攻する事になったので、経食道エコーにおける技術に上部消化管内視鏡の技術は役立つ結果となりました。また当院では社会人としての飲み会もたくさん経験ができます。どの病院での研修でもそれぞれ長所短所はあると思います。まずは病院見学で当院の雰囲気を経験してください。

初期研修2年目 來留島 医師(基幹型)

松山市民病院での研修内容について

初期研修2年目
(基幹型)
來留島 医師

 初期研修の2年間で内科(消化器、糖尿病・内分泌、腎臓、血液、呼吸器、循環器)、外科、小児科、麻酔科、皮膚科、放射線科、精神科(真光園)、地域医療(西予市立西予市民病院)をローテートしました。当院には救急部というものはありませんが、8日に1回の救急当番日には必ずシフトに入りました。当番日には松山市だけでなく周辺の東温市や伊予市を含む松山医療圏(人口約65万人)の2次救急を当院だけで担うため、絶え間なく救急対応を行います。当院では日勤・準夜勤・深夜勤の3交代制を採用しているので、自宅に帰って風呂に入り自分の布団で眠るという生活は保たれます。

当院での研修での長所・短所

 他院での研修がどのようなものか知りませんので主観的な長所・短所になりますが、同期の研修医の人数がちょうど良いという点は私が松山市民病院を研修先として選んだ理由のひとつです。同期が多すぎると研修が学生実習の延長となってしまうようなイメージがありましたし、同期が少ないと切磋琢磨したり慰め合う相手が少なくなります。私達の代は基幹型4人+愛媛大学医学部附属病院とのたすきがけ4人で計8人でした。来年度はもっと多くの研修医が入ってくるようで少し窮屈になってしまうような気もします。また、当院では経験豊富な指導医の先生から教わる機会に恵まれています。
 ところで大学病院=稀な疾患、市中病院=common diseaseという図式がイメージされがちですが、中規模な市中病院に位置付けされる当院でも稀な疾患を受け持つ機会はあります。受け持った稀な疾患の症例から、日本内科学会第111回四国地方会で演題発表を経験しました。学会発表で言いますと糖尿病グループでは研修医に発表の機会を与えてもらえるので、私も広島で開催された日本糖尿病学会中国四国地方会第52回総会に参加し演題発表をしました。
 短所も挙げておきましょう。当院にも集中治療室(ICU)はありますが、ICU専属の医師はいません。各科でICU管理を学ぶ機会はありますが集中治療に特化した研修を経験することはできません。

当院での研修を考えている学生・初期研修医へのメッセージ

 当院は研修のブランド病院ではありませんが、近年は基幹型プログラム・たすきがけの研修先の両方において人気が高まってきているようです。のびのび着実に成長できる環境が人気の理由でしょうか。

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