整形外科2017/10/27

肘部管症候群について

骨や筋肉、あるいは腱膜や靭帯などで囲まれた身体の中の狭い部分を末梢神経が通過する際に、神経が圧迫されたり、牽引されたり、摩擦を受けたりして発生する神経障害を絞扼性神経障害といいます。
絞扼とは締め付けるという意味で、神経が締め付けられて発生する神経障害です。
手のしびれを引き起こす代表的な絞扼性神経障害には、手根管症候群(整形外科の病気あれこれ4月 参照)と肘部管症候群が挙げられます。

症状

肘部管症候群は手の小指側がしびれる病気です。主に小指側の指へ行く尺骨神経という神経が肘の部分で圧迫や牽引などを受けて生じる絞扼性神経障害です。症状は麻痺の進行により違いますが、初期には小指と環指(薬指のことです)の一部にしびれ感が出現します。神経麻痺が進行するに伴い、手の甲側の筋肉や、手のひらでは小指の付け根の筋肉がやせてきたり、小指と環指が変形を起こしてかぎ爪指変形が生じたりします。

イラスト[日本手の外科学会]転載許可済

イラスト[日本手の外科学会]転載許可済

原因・病態

この病気の原因は、肘の内側の肘部管という骨と靭帯で作られたトンネルの部分で尺骨神経に慢性的な圧迫や牽引が加わることにより発症します。原因は不明なこともありますが、神経を保持しているバンドや、ガングリオンという出来物によって神経が圧迫されたり、肘関節が老化、変形して神経が傷害されることもあります。その他に小児期の肘の骨折による変形のために神経が刺激され、大人になってから発症することもあります。

診断

肘の内側をたたくと小指と環指の一部にしびれが走り、この部分で神経が刺激されていることが判ります。また、肘の骨折の既往がある場合には、X線写真で肘の外反変形がみられます。神経に微量の電気を通してその伝わる速さを測定する神経伝導速度検査では、肘部分にて伝導速度の遅延がみられることもあります

治療

先ず専門医にご相談ください。程度が軽ければ、局所(肘関節)の安静や飲み薬、さらには注射によるブロックなどで治療します。このような治療で改善しない場合や重症の場合には、手術による治療が必要となります。これは、尺骨神経を圧迫しているバンドの切離やガングリオンの切除をします。神経の緊張が強い場合には、骨を削ったり、神経を前方に移動させる手術を行なうこともあります。これらの手術は一部を除き、通常、外来手術、つまり日帰り手術で行なうことができ、入院は不要です。

慢性的な手のしびれ感で悩んでおられる方は多いと思いますが、ここでお話したような病気の可能性もありますので、一度整形外科受診をお勧めします。

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