2025/12/25
色素性疾患に対するレーザー治療器を新しくしました
今年度からJMEC社のThe Ruby Z1 Nexus を使用しております。
このレーザー治療器による各疾患に対する治療効果、保険適用の有無、治療の実際を説明いたします。
Rubyレーザーは皮膚のメラニン色素に光を吸収させ、発熱させて色素を持つ細胞を破壊する、または、皮膚に取り込まれた砂粒などの異物を熱で粉砕して、皮膚の貪食細胞が運びやすくすることで色を薄くしていきます。
赤血球には光が吸収されませんので、赤アザには効果がありません。(当院には赤アザに対する治療器はありません)
対象疾患
1.太田母斑
幼少期から顔にある青アザです。一度で消えるものではありませんが、淡くなります。
ただし、照射したところはしばらく経つと茶色(炎症後色素沈着)になることが多いです。
照射を行い、数か月~1年待って、色素沈着がなくなれば次の照射を行うようにして、少しずつ消していく治療になります。保険が適応されます。
2.異所性蒙古斑
東洋人は、生まれたときに臀部に青アザ(蒙古斑)があり、年齢とともに消えていくことが多いです。異所性蒙古斑は臀部ではなく、他の部位にあり、消えないことも多いものです。
太田母斑と同じように治療しますが、太田母斑ほど効果的ではなく、ほとんど消えないこともあります。保険が適応されます。
3.外傷性刺青
擦り傷に砂などが入り込むと、傷が治った後も青くなることがあります。
この疾患も太田母斑と同じように治療します。効果があることが多いですが、異物の性質、大きさ、深さなどで違いがあります。保険が適応されます。
4.扁平母斑
生まれつきある茶色いアザです。照射を行うと色がいったん消えます。
しかし、再発して元と同じようになることが多いです。
保険が適応されますが、2回までに限られますので3回目以降は自費診療になります。当院では外用剤を併用することもあります。

5.老人性色素斑
加齢とともに出てくるいわゆる「シミ」です。1回の照射で消えたり淡くなることが多いです。
照射後、また茶色くなり、再発したように見えることがありますが、たいていの場合、数か月で消えてきます。
保険は適応されません。自費診療になります。内服治療、外用剤の治療を追加、併用することがあります(すべて自費診療になります)。
6.肝斑
老人性色素斑に似ていますが、頬骨の高まりの部分にぼんやりと色が出るいわゆる「くすみ」です。これは刺激によって出る色素斑なので、レーザーによる刺激で悪化するリスクがあります。
ルビーレーザーでない他の光線治療を行っている施設もありますが、当院ではトラネキサム酸内服治療、外用剤の治療が主体になります(自費診療になります)。
7.雀卵斑(そばかす)
両下眼瞼、鼻を中心に小さな色素斑が多数、幼少時よりあることが多いです。
効果には個人差はありますが、薄くなる症例もあります。保険は適応されません。自費診療です。
茶色の色素異常でも、皮膚面から盛り上がっているものはルビーレーザー治療対象になりません。別の治療方法がとられます。
治療費
初診の方は初診料(紹介状をお持ちでない方はさらに初診負担金7,700円が加算)、再診の方は再診料がまず必要になります。保険診療ではない疾患の治療の場合は初診料(3,000円)や再診料(1,000円)も自費になります。
保険診療のレーザー治療費(1回あたり)
疾患の面積で変わってきます。
4平方センチメートル未満 20,000円
4平方センチメートル以上16平方センチメートル未満 23,700円
16平方センチメートル以上64平方センチメートル未満 29,000円
64平方センチメートル以上 39,500円
これに負担の割合をかけて計算されます。
例:5平方センチメートルで3割負担の場合 23,700×0.3=7,110円になります。
自費診療の場合のレーザー治療費
1ショットあたり1,500円(税別)
1ショットは直径が4-7mm程度の6角形になります。
治療の実際
初診で保険診療の場合は、かかりつけ医(何科でもいいです。歯科医院でも可)に紹介状を書いてもらい、当院の地域連携室にファックスしてもらって予約を入れるのがベストです。
初診で自費診療の場合は電話(下記)で日時を決めてください。ただし、予約という形はとれません。
再診の場合は形成外科の窓口へお越しいただくか、電話(下記)での予約が可能です。
いきなり診察に来られても、後日の予約を入れるだけで終わってしまうことがあります。
レーザー治療の痛みについて
レーザーショットの際は、輪ゴムではじかれるような痛みがあります。少ない場合は耐えられる程度のことが多いですが、数が多くなると痛みを感じやすくなるので、つらいことがあります。場合によっては麻酔のクリームを塗布することがありますが、時間を要すること、無痛にはならないことをご了承ください。
浅いやけどになっていますので、治療の後もヒリヒリとした痛みがしばらく続きます。
太田母斑は子供が対象になることが多いですが、子供にとって、治療はかなりの負担になります。自分から「我慢するから治療して」と言い出す年齢から行うことが多いです。子供の場合は押さえつけて治療する場合もありますが、動いて安全性が確保できない場合は治療をお断りすることもあります。当院では、レーザー治療器がある診察室で全身麻酔はかけられません。
連絡先 089-943-1151
交換員がでますので、形成外科外来につないでもらってください。

