皮膚科2017/10/30

いぼ(ウイルス性疣贅)の治療について

 ヒト乳頭腫ウイルスがヒトの皮膚や粘膜に感染してできる良性腫瘍です。ウイルスの種類や感染した場所によりいろいろなタイプの疣ができます。さまざまな治療法がありますが、一長一短があり、確実な方法がまだありません。

1.液体窒素凍結療法 液体窒素により細胞を凍らせることにより破壊する方法。当日痛みが生じる。1~2週間後、いぼがとれなければ再度行う。水疱(水ぶくれ)となる場合は受診を。保険がききます。
2.電気凝固、焼灼 局所麻酔をした後に電気による熱でいぼを破壊する方法。術後きずとなるため消毒が必要。いぼはぎ法といって、いぼのまわりよりはぎとる取り方もあるが、大きな傷となるおそれがある。保険がききます。
3.レーザー CO2レーザーで、組織を蒸散する。当院ではできません。

ぬり薬による治療

1.サリチル酸 角質を軟らかくしてからけずる方法。ずれたりしなければ痛みがなく、自宅で治療可能。ほかの治療と併用することも。
2.グルタラール
  (ステリハイド)
組織蛋白を凝固させ、ウイルスを殺菌する。1日1~2回いぼに自宅でぬる方法。体質によってはかぶれるおそれ。茶色く色がつく。けずることが必要なことも。目などにつかないよう注意。かぶれる可能性もあります。
3.モノ(トリ)クロロ酢酸 週に1回通院でイボにぬる方法。1日はぬらさないようにする。ウイルスのDNAを直接破壊する。強い酸のため、ヒトによってはかぶれや痛みがあることも。病院でぬります。
4.SADBE 人工的につくられたアレルギーをおこさせる物質。かぶれをおこし、いぼに対し、免疫を起こさせる。1~2週間ごとにぬる。ひとによってはかぶれ、刺激。病院でぬります。
5.フルオロウラシル軟膏
  ブレオマイシン
抗がん剤。いぼには保険適応外。1日1~2回ぬる。きずになり、痛みが強い。
6.ビタミンD3軟膏 もともとは尋常性乾癬の薬。ぬって密閉すると効くことも。副作用はあまりない。

のみ薬による治療

1.ヨクイニン ハトムギからつくられる漢方薬。保険がききます。数ヶ月内服し、ウイルスに対する免疫力を高めると考えられている。あまり副作用はないが、下痢、腹部症状がおこることも。
2.シメチジン 本来は胃薬のため、イボには保険適応外。大量に飲まないと効かないとされる。
3.エトレチナート ビタミンA誘導体で、イボには保険適応外。肝障害、催奇形性など副作用が多いが、イボがもり上がるのを抑える効果。内服中しか効果がない。保険外。
4.セファランチン 本来は円形脱毛症などの治療に使いますが、いぼに効果がある場合があります。副作用はあまりありません。

それぞれの治療とよいところ、悪いところを知った上で自分に適した治療を選んでください。 また数ヶ月つづけて効果がみられないときは治療をかえてみることをお勧めします。

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