形成外科2017/11/21

顔面神経麻痺によるまぶたの垂れ

顔面神経麻痺によるまぶたの垂れ

顔面神経麻痺が起こるとまぶたが垂れて、視界が悪くなる場合があります。
この原因と治療について述べます。

もし、患者様に眼瞼下垂がなければ、顔面神経麻痺が起きても上まぶたは垂れてきません(下図)。

眼瞼下垂なしの状態

眼瞼下垂なしの状態



顔面神経麻痺でまぶたが垂れた患者様はそれまでに眼瞼下垂になっており、眼を開けるために前頭筋という筋肉を使って、眉毛ごとまぶたを引き上げていたはずです(下図)。

眼瞼下垂の状態

眼瞼下垂の状態



この状態で顔面神経麻痺が起こり、前頭筋が動かなくなるとまぶたが垂れてしまいます(下図)。

顔面神経麻痺の状態

顔面神経麻痺の状態



治療法はいくつかあります。患者様の状態に合わせて行います。
一つは麻痺側の眉の上の皮膚を切除して眉毛を持ち上げ開きを改善する方法です。


もう一つは、眼瞼下垂を治療して眼を開ける方法です。




眼瞼下垂が進んでいる場合はこちらの方が効果的ですが、片側だけだと眉毛の高さは
ちぐはくで、開き具合も左右差が出る事が多いです。その可能性が高い場合は顔面神経麻痺がない側の眼瞼下垂も治療します(下図)。



 ほとんどの場合、これで左右差がかなりなくなり、視界も改善します。時々、麻痺の回復過程で筋肉の異常収縮が起きたりしますので、必要ならそれも対処します。

治療をご希望のかたは、眼瞼下垂外来に予約をお願いします。

診療の実際

予約

水曜日と金曜日の午後に外来診察を行っています(時間に余裕があれば別の曜日、時間もあり)が、完全予約制です。診察、治療を希望されるかたはまず、外来受診を予約してください。来院可能な日程の候補をご用意いただき、外来診察時間にお電話(089-943-1151)をください。交換員が出ますので「形成外科の眼瞼下垂診察予約を」とおっしゃってください。外来の担当が出ます。「明日どうぞ」ということもあれば、1ヶ月以上先にならないと予約できないこともあります。

外来診察

印刷可能なら予診表(形成外科予診表、眼瞼下垂の予診表)をお書きの上、お持ちください。また、できるだけ、過去の写真をお持ちください。実は先天性下垂だったりすることがあり、その場合は特に小児期の写真が手がかりになります。その他にも写真が治療を行う際の注意点を教えてくれることがあります。
患者さんの状態にもよりますが、診察から説明まで、1時間程度かかることもあります。そこで手術を希望されれば、手術の予約を行います。治療を受けられるのを迷われたり、日程が決められない場合は予約せずお帰りいただき、後日お電話で予約を入れることも可能です。眼瞼の手術は通常、水曜日と金曜日の午前に行います。月曜日、木曜日の午後も手術枠ですが、眼瞼以外の手術優先ですので、寸前にならないと予定を入れられないこともあります。いずれにしても、手術予定日の1週間~1ヶ月くらい前に手術前に必要な検査を行います(外来診察と手術日が近ければ診察直後に検査していただくこともあります)。

手術日

午前手術は8:30ごろに来院していただき、外来から直接手術室へのご案内となります。午後手術は午前10:00ごろに入院していただき、病室から手術室へのご案内となります。遠方のかたで上記の来院が難しい場合は手術予約時に相談ということになります。

術後

術後はジワジワとした出血が止まるまでの安静と冷却が大切です。眼瞼手術後の安静とは基本、目を開けないことなので、入院を必要とします。また、術後出血というリスクがあります。これが自宅でおきると病院に来られるまでつらいことになります。このリスクは術後日が経つにつれて減りますので遠方のかた、血管が弱い/血を固まらないようにする治療をうけられているかたは長めに入院されたほうが安心できるでしょう。通常、市内のかたで1~2泊、県内市外のかたは2~3泊、県外のかたはそれ以上ですが、7泊を超えての入院は難しいです。抜糸は7~14日後、腫れ具合や来院可能な日を考慮して行います。
経過観察は半年くらい行います。抜糸の時、具合が良さそうなら「次、半年後に」ということもありますし、投薬が必要な時など1月毎ということもあります。

合併症

腫れ、出血斑(アオジ、アオタン)、周囲の知覚障害、傷跡や凹凸など見た目の問題、しばらくの目の乾き、視力の変化などがあります。術式や患者さんの全身状態やまぶたの構造次第で合併症の起こり具合は違います。診察時にもう少し丁寧にお話いたします。

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