外科2017/11/24

膵癌の切除率の向上

治療法の選択は、癌の進行度によって決定していきます。治療の場面では、切除可能かどうかによって膵臓癌を「切除可能膵臓癌」と「切除不能膵臓癌」に分け、切除不能膵癌はさらに遠隔転移の有無により「局所進行膵癌」と「転移性膵癌」に分けて検討します。

2016年には、「日本膵臓学会 膵癌取扱い規約」の中で、「切除可能性分類」が新たに定義され、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」の3つの分類が定められました。

膵癌の治療の中で、最も治療効果が高く根治治療が可能なものは手術です。手術ができる場合には、癌を含めて膵臓と周囲のリンパ節などを切除します。手術が適応になるかは、肝臓や肺などの遠隔転移がないかどうか、重要な臓器に栄養を運ぶ血管に癌が広がってないか、などから判断されます。

(1) 膵頭十二指腸切除術

 膵頭部(膵臓の右側)にがんがある場合に適応となります。胃の一部、十二指腸、小腸の一部、胆のう、胆管をまとめて切除します。膵臓の周囲のリンパ節、脂肪、神経なども一緒に摘出します。摘出したあとは、残った膵臓と小腸、胆管と小腸、胃と小腸の順につなぎ直し膵液、胆汁、食べ物の通る経路をつくります。

(2) 膵体尾部切除術

 膵臓の体部・尾部(膵臓の左側)に癌がある場合には膵体尾部切除術といって、膵臓の左側と脾臓を一緒に摘出します。

(3) 膵全摘術

 癌が膵臓全体に及ぶ場合は膵全摘術が行われます。ただし、膵全摘は膵臓の機能がまったく失われてしまい、体への負担が大きいので、切除による治癒が期待できない場合には行われません。術後には、血糖をコントロールするためにインスリンの注射が必要となります。

(4) バイパス術

 癌が進行して食べ物の通り道である十二指腸が閉塞している場合には、癌の摘出ができなくても食べ物の通り道をつけるために胃と小腸をつなぐバイパス手術を行うこともあります。また、黄疸に対して胆管と小腸をつなぐバイパス手術を行う場合もあります。

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