サステナビリティ&ウェルビーイング ―「いのち」と「こころ」を大切に

理事長 山本 祐司
一般財団法人永頼会 松山市民病院
理事長 山本 祐司
コロナ禍以来5年目を迎えました。この年末年始はむしろインフルエンザが流行し、手洗い・うがい・マスクによる対策や学級・学年閉鎖などで対応しているところが増えました。愛媛・松山医療圏にお住まいの皆さん、諸機関・施設等の職員の皆さんには、日頃より永頼会松山市民病院との連携・交流をいただき心より感謝申し上げます。
昨年2024年の世界と日本のイベントを時系列で振り返って並べてみました。能登半島地震、航空機衝突炎上と全乗客無事避難、物価高・円安・人手不足、株史上最高値と歴史的暴落、SNS偽情報と有名人をかたる詐欺、闇バイト犯罪、暑すぎる夏と熱中症救急搬送過去最高、パリでのオリ・パラリンピックのメダル数最多、北口やり投げ金、新競技ブレイキン、MLB大谷前人未到の50/50、線状降水帯と豪雨災害、気候変動、強硬イスラエルにガザ住民絶望、ウクライナ戦争に北朝鮮部隊派兵、世界各国選挙イヤーで日本含め少数与党、大国の選挙介入とSNSによる情報戦、米大統領トランプ再選と自国第一主義、シリアのアサド政権崩壊、日本被団協のノーベル平和賞・・・などなど。
今年、多様な未来社会への不安と期待が交錯する、混迷の世界はどこへ向かう?イデオロギー「対立」と、民族・宗教の壁や富の格差による「分断」はあらわになり、偽情報は氾濫し自由で公正な選挙はゆがめられ、経済状況への不満・不安で民主主義の行方も危うくなっているように感じます。「自由で開かれた国際秩序~融和と協調へ」を掲げる日本外交が国際社会に果たすべき役割が求められています。
日本では、「物価高を上回る賃上げ」が世界に遅れを取っており、「103万円の壁引き上げ」、「手取りを増やす」、「高等教育無償化」など、去年の衆院選で国民の審判を受け過半数を割った石破政権は、政策ごとに野党との対話を丁寧に重ね、合意形成に取り組んでいます。2025年度政府予算案115兆円超えはまたまた過去最大となり、国債頼みが続きます。今年の政治の動向では東京都議選・参院選にも注目が集まります。
医療界では、昨年4月改定の医療・介護報酬は公定価格のため価格転嫁できず、昨今の急激な人件費の増加、光熱・食材料費の高騰などあいまって、医療・介護施設での経営は非常に厳しい状況となりました。また患者さんには、いざというときには医療機関の受診が必須となり、通院や窓口負担のコストが増え、医療(キュア)と介護(ケア)との需給のアンバランスなどが懸念されます。地域包括ケアの構想がうまく機能するよう、私たち医療機関が主体的に対応できるよう心掛けたいと思います。
さて、松山市民病院は、1956年、「市民による市民のための」病院として、生活協同組合立からスタートし、1964年、設立母体が財団法人「永頼会」に移行し、昨年設立60周年を迎えました。永頼会館玄関ホールには、一連の病院設立に尽力された薬師寺眞氏の胸像が私たちを見守り、「萬世永頼(ばんせいえいらい)」という設立精神、すなわち「永遠の信頼」を語りかけています(季刊誌えいらい令和6年春号巻頭言)。
今年、2025(令和7)年の干支は乙(きのと)巳(み)で、脱皮を繰り返して成長する「再生力」や「無限の可能性」を想起させます。また、蛇(ヘビ)がギリシャ神話の医神アスクレピオスの杖に巻き付く紋章は、医学・医療の象徴として世界に広く知られ、私たち医療者と関係の深い年となります。
私は、新年の抱負として、これまで地域医療への想いを「信頼と実践」、「共有・理解・行動」など漢字表現してきましたが、令和時代になり「治す・支える・癒す・活かす」、「ために・ともに・あらたに」など大和ことば表現に変えてきました。今年の合い言葉は、『Sustainability and Well-being —「いのち」と「こころ」を大切に』を掲げ、英語と大和ことばのハイブリッドで表現してみました。持続可能な病院医療が、人びとの幸福で健全な生活を支え、また現場の医療従事者一人ひとりが「いのち」の尊重と、慈愛の「こころ」を大切に、という想いをあらたに、ともに協力して地域社会の発展のために尽くす — このような姿を求める年でありたいと思います。
今後も松山市民病院とのご交誼をよろしくお願い申し上げます。

