形成外科2017/11/21

眼瞼下垂について 先天性眼瞼下垂治療について

先天性眼瞼下垂の手術適応・時期

 開きが悪く光が入らないために弱視になる恐れがある場合はできるだけ早期に治療します。
その他の場合は気になってきた時に行いますが、幼少児の場合は就学の少し前に行うことをお勧めしています。左右差が大きく気になる場合、視界が狭く日常生活に支障を来たす場合、まぶた以外の場所にいろいろな症状が起きている場合、などです。

先天性眼瞼下垂の治療方法

(先天性眼瞼下垂の術後)

先天性眼瞼下垂の術後

原則的に筋膜移植法になります。後頭前頭筋(眉を上げる筋肉)の力を利用します

筋膜や靭帯の組織を使って、後頭前頭筋の最も作用する眉の皮膚と瞼板とをつなげます。当院では、大腿筋膜の一部である腸脛靭帯(大腿筋膜張筋という筋肉の腱にあたります)という外側で筋肉を包んでいる厚い膜を使用します。採取するところに傷ができてしまいますが、これを使用するのが最も成績がよく、やり直し手術の率が低くなります。これを移植時に靱帯が死んでしまわないようにする工夫(筋膜の表と裏に腱膜という軟らかい膜をつけたまま)をしながら移植します。
筋膜/靱帯移植術は古くからされており、ほとんどの形成外科で受けることができます。ただ、先天性の眼瞼下垂症にも、目を開けるのを邪魔する靭帯、脂肪組織がありますので、これも切除する施設、上記の工夫ができる施設で受けるほうがより楽に目が開くと思います。
この手術も、成人では通常局所麻酔で行っています。幼少児では局所麻酔での手術は不可能です(じっとしていられない)ので、全身麻酔で行うことになります。

診療の実際

予約

水曜日と金曜日の午後に外来診察を行っています(時間に余裕があれば別の曜日、時間もあり)が、完全予約制です。診察、治療を希望されるかたはまず、外来受診を予約してください。来院可能な日程の候補をご用意いただき、外来診察時間にお電話(089-943-1151)をください。交換員が出ますので「形成外科の眼瞼下垂診察予約を」とおっしゃってください。外来の担当が出ます。「明日どうぞ」ということもあれば、1ヶ月以上先にならないと予約できないこともあります。

外来診察

印刷可能なら予診表(「形成外科予診表」、成人のかたは「眼瞼下垂の予診表」も)をお書きの上、お持ちください。成人のかたは、できるだけ過去の写真をお持ちください。診断の助けになることがあります。
患者さんの状態にもよりますが、診察から説明まで、1時間程度かかることもあります。そこで手術を希望されれば、手術の予約を行います。治療を受けられるのを迷われたり、日程が決められない場合は予約せずお帰りいただき、後日お電話で予約を入れることも可能です。局所麻酔可能な成人の眼瞼の手術は通常、水曜日と金曜日の午前に行います。月曜日、木曜日の午後も手術枠ですが、眼瞼以外の手術優先ですので、寸前にならないと予定を入れられないこともあります。いずれにしても、手術予定日の1週間~1ヶ月くらい前に手術前に必要な検査を行います(外来診察と手術日が近ければ診察直後に検査していただくこともあります)。全身麻酔を要する小児の手術は月曜日の午後になります。手術予定日の1週間くらい前に手術前に必要な検査を行います

手術日

午前手術は8:30ごろに来院していただき、外来から直接手術室へのご案内となります。午後手術は午前10:00~11:00に入院していただき、病室から手術室へのご案内となります。遠方のかたで上記の来院が難しい場合は、手術予約時に相談、ということになります。

手術のあらまし(局所麻酔の場合)

点滴を入れ、切開するラインを描き、まず局所麻酔を筋膜採取部(大腿)に注射し、手術を開始します。筋膜採取後、局所麻酔を眼瞼に注射し、移植手術を行います。時々目を開けていただくために沈静薬、睡眠薬は使いません。時間は片目で1時間半程度、両目では2時間半程度です。痛みは多少(個人差が大きい)あり、まぶしく、目元を触られるのでうっとうしいです。

術後

術後はジワジワとした出血が止まるまでの安静と冷却が大切です。筋膜移植後の安静とは基本、目を開けないことと、できるだけ歩かないことなので、入院を必要とします。また、術後出血というリスクがあります。これが自宅でおきると病院に来られるまでつらいことになります。このリスクは術後日が経つにつれて減りますので遠方のかた、血管が弱い/血を固まらないようにする治療をうけられているかたは長めに入院されたほうが安心できるでしょう。通常、市内のかたで1~2泊、県内市外のかたは2~3泊、県外のかたはそれ以上ですが、7泊を超えての入院は難しいです。抜糸は7~14日後、腫れ具合や来院可能な日を考慮して行います。
経過観察は半年くらい行います。抜糸時、1ヵ月後、3ヶ月後、半年後という感じです。

合併症

腫れ、出血斑(アオジ、アオタン)、まぶた周囲の知覚障害、傷跡や凹凸など見た目の問題、目の乾き(半永久かもしれません)、視力の変化などがあります。筋膜採取部(大腿)の傷跡、歩行時の痛み、この部分が膨れる(筋肉が筋膜を取った所からはみ出ようとする)ことも時にあります。術式や患者さんの全身状態やまぶたの構造次第で合併症の起こり具合は違います。診察時にもう少し丁寧にお話いたします。

治療効果

通常、術後は術前との違いがわかりません。理由は非常に緩い状態で移植するからです。術後、数ヶ月を経過すると程よく移植筋膜が縮んで、いい状態になってきます。ほとんどがかなり満足できる状態まで開いてきますが、例外もあります。眉がうまく動かない場合、眼瞼痙攣を合併する場合などです。また、片側性の場合、正面では左右そろったとしても、上を見れば先天性下垂側の開きが悪い、下を見れば先天性下垂側が開きすぎる、まばたきのスピードが違うというチグハグな状態がどうしてもおこります。左右の目で使用する筋肉が違うためこれはどうにもならないのです。

治療費用

健康保険適応、3割負担で1~2泊の入院で手術費用込みで7~8万円(片目)、11~12万円(両目)くらいです。全身麻酔なら数万円加算されます。後天性眼瞼下垂に比べると手術料が異常に高い(後天性の手術が安すぎ?)気がするのですが、お国が決定しているので、割り引きも割り増しもできません。入院が長くなると1泊5千円ずつくらいご負担が増えます。個室の場合もご負担が増えます。

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