形成外科2018/01/12

眼瞼下垂について 私の眼瞼下垂手術の特徴

1. 不定愁訴も軽快させるために必要な処置を行います。

 目を大きく開けるだけなら、簡単な処置で可能です。ですが、不定愁訴(まぶた以外の体の不調)を軽くするためには、多くの処置を必要とします。時間と労力を要し、それでも保険点数(手術を行なう事によって病院に入る収入)は同じです。手術によっていろいろな症状がとれて喜んでいただくことが私の楽しみでもありますので、いっさい手を抜きません。

2. 局所麻酔でも、できるだけ痛みを小さくします。

 眼瞼下垂患者さんの中には、痛みを人より強く感じやすくなっている人がいます。そして術者は手術中に患者さんに痛がられることがとてもつらいのです。ですから麻酔はとても重要で、少しずつ改良してきました。今は2種類の麻酔薬と3種類の注射針を使って細かく麻酔することによって、かなり楽に受けていただくようになりました。どうしても局所麻酔手術が無理と言われる方には、全身麻酔下の手術も可能です。ただ、麻酔覚醒時に血圧が上がることで出血、腫れのリスクが上がりますし、術後の仕上がり(左右対称性など)は局所麻酔下の手術に劣る可能性があります。

3. 術後の腫れは仕方ありません。しかし、できるだけ軽くなるようにしています。

 多くの処置をするということは、それだけ微小出血やリンパ管の損傷(特に脂肪の切除が必要な場合)がおこるため、術後ある程度腫れます。これは避けられません。ただ、術後の微小出血や切開部付近の組織損傷をできるだけ少なくするために、特殊な形状の電気メスを使います(レーザーも有効ですが、触れたところしか切れない電気メスのほうが安全だと思っています)。縫合前の止血確認も徹底的に行います。原則、ドレーン(血抜きの管)を1晩留置して、にじみ出た血液を外に排出させます。これらの手技で術後の出血量は少なく、たとえ腫れても、引くのが早くなります。

4. 手術時間は長め。よって原則1日1手術(両側)です。

 先の3項目のため、手術時間は長め(両側で1時間半~2時間半)になります。正直まあまあ疲れます。手術室の都合もありますので、原則1日1手術しかできません。その分、一人の手術に集中力を注入することができます。

【私のライフワーク】

 師匠の松尾清教授の発見に感銘をうけました。ただ、理論は非常に難解で手術も難しいです。これを出来るだけ理解し、自分の知識・手技としていく一方、他の形成外科医師、一般の方々にわかりやすく紹介していきます。そして多くの医師がこの方法を取り入れ、成績があがることで、「多くの不定愁訴は眼瞼下垂が原因である」ということが一般常識になるのが夢なのです。

【眼瞼下垂に関する今までの学会発表】

 他の施設の形成外科医にも松尾教授の腱膜固定がすばらしいことを知ってもらいたいため、積極的に全国の学会で自分の経験を発表しています。
 ここでは、日本形成外科学会学術集会で発表したもののみ掲載します。他の学会、地方学会での発表は割愛します。

2008(名古屋)易出血性の高齢者眼瞼下垂症に対する腱膜一針固定法の小経験

【解説】出血リスクがある場合、手術操作を少なくする目的で一針で固定しても効果があるというもの(現在は手術器械の進歩で出血リスクが少なくなったため一針だけというのは行っていません)

2009(横浜)強直性眼瞼痙攣手術における、閉瞼筋群筋力低下の工夫

【解説】閉瞼筋を切離しても瘢痕が腱の代わりになって筋力を戻してしまうため、切離した隙間に柔らかい脂肪を入れてそれをブロックするというもの(現在は少なくなった術式)。

2010(金沢)眼瞼痙攣に眉毛下垂を伴う眼瞼下垂症に対する手術方法の検討

【解説】眉毛下垂がある眼瞼痙攣・眼瞼下垂症の皮膚切除は眉毛上と上眼瞼の2ヶ所になる。1回よりも2回に分けて手術する方がいいか?2回ならどちらを先にするか?

2011(徳島)皺眉筋・眉毛下制筋の痙攣が開瞼や自律神経に与える影響

【解説】皺眉筋などに不随意収縮がある場合はこれらの筋肉切除のみで眼瞼下垂症状が軽快することがあるという報告。

2012(東京)眼瞼下垂ガイドラインシンポジウムにて「眼瞼痙攣・治療」担当

【解説】日本形成外科学会で眼瞼下垂のガイドラインを作りました。その中で「眼瞼痙攣・治療」を担当させていただきました。

2013(東京)眼瞼下垂・眼瞼痙攣を効率的に手術するための道具の選択、改良

【解説】眼瞼下垂手術では助手の働きが重要と言われています。しかし私は他にスタッフがいないところで手術を始めましたので、今までの道具を変形させたり、新しいものを作って助手の代わりにしています。

2014(長崎)腱膜性眼瞼下垂症手術時のミュラー筋の扱い

【解説】眼瞼挙筋を前転させるとその裏のミュラー筋も前転してしまい、結果が不満足な症例が時にあります。そのためミュラー筋が前転しない方法を述べました。また2013年にADM(ミュラー筋離断による固有感覚のさらなる減弱)が松尾教授により発表されましたので、それにも触れました。

2015(京都)腱膜性眼瞼下垂に対し、ミュラー筋離断を追加した腱膜固定法の術後成績の検討

【解説】ADMを追加した腱膜固定の術後成績について述べました。初回手術症例ではほとんどが訴えの消失または軽快が得られたという報告です。

2016(福岡)腱膜性眼瞼下垂における左右差の原因

【解説】腱膜性眼瞼下垂ではしばしば左右差がある症例が見られます。これらの原因として腱膜のズレ具合、ミュラー筋の強さ、挙筋自体の左右差と3つの原因があり、それぞれ手術操作が違うという発表です。

2017(大阪)腱膜性眼瞼下垂手術においてミュラー筋切離の必要性を判断する材料

【解説】ADMを追加すべきかどうかの判断が術前、術中に必要となります。そのためのいろいろな判断材料が信頼できるか否かについての発表です。

2018(福岡.パネルディスカッション「後天性眼瞼下垂術後のトラブルまたは不満足な結果に対するリカバリー」において)
ミュラー筋に糸がかかり、開瞼障害、不定愁訴の増悪が見られる症例のリカバリー

【解説】重瞼術や眼瞼下垂の手術後に最も問題となる眼瞼痙攣や全身の不定愁訴の増悪。原因はミュラー筋に糸がかかると異常収縮を起こすためと考えられています。このリカバリーには糸のかかったミュラー筋の部分切除とADMが必要ですが、それまでの術式によっては限界もあるという発表です。このパネルディスカッションは、パネラー6人のうち3人がほぼ同じ内容でした。

 

↓「眼瞼下垂について」リンク

眼瞼下垂専門外来のページはこちら

形成外科のページはこちら

各診療科トピックスの一覧に戻る

PAGEのTOPへ

PAGEのTOPへ

ご利用者別メニュー